特に直近で火山噴火のニュースがあるわけではないが、今日「探求三昧」の方でカルデラ噴火の関係の記事を書いたが、ちょうど台風16号が九州に上陸というニュースもあり、関連する話題として。
いわゆる「カルデラ噴火」「破局噴火」といった超大規模噴火ではなく、一般的な火山の噴火と、台風の進路に関係はあるのか?
いままで私は、地震と台風の進路に関係がありそうだということで、研究をしてきた。
気圧や熱の観点で、やはり地震と台風は関係がありそうだという認識をもっている。
だが、火山噴火と台風の関係については、どうだろうか?
これについては、まったくの未知数だ。
もし関連があるとすれば、もちろん地震にも大いに関連してくるテーマだ。
フイリピンのピナトゥボ火山の大噴火
ただ、今日たまたま過去の火山噴火のデータに目が止まった。
25年前の1991年6月7日、フイリピンのピナトゥボ(ピナツボ)山が400年ぶりに大噴火した。
20世紀最大の火山噴火で、世界中に噴火の影響が及んだ。
放出された大量の火山灰が成層圏にまで達して、世界中の日射量を長期間減少させたのだ。
このときの最大の噴火は、その年の6月15日の噴火で、ちょうど台風5号が接近して大雨となっており、火山災害を拡大させた。
1991年のピナトゥボ山大噴火と台風5号の関係は?
私が注目したのは、この部分だ。
はたして、火山噴火と台風の発生・進路には関係があるのか?
いつもの手法で、早速調べてみることに。
デジタル台風のサイトで、1991年の台風5号(YUNYA)の進路データを入手。
提供されているKMLデータを、Google Earthに取り込んだ。
インターネットなど普及していなかった頃の火山噴火のデータが、こうして無料で手軽に入手できて研究に利用できるというのは、非常にありがたいことだ。
下記の写真は、1991年のピナトゥボ山の噴火時のもの。
日本人にとっては非常に親しみを覚える山容だ。
富士山にとても似ているのだ。
火山も台風も、その活動に「熱」というものが大きな要因となっていることで共通点がある。
台風の発生には、条件として高温な海水温が必要となる。
そのことを前提とすると、これから書くことは、そう突拍子もないことでもないかもしれない。
もちろん、低い可能性であるという前提で書くのだが。
台風5号は大噴火中のピナトゥボ山を避けて通った?
下記のGoogle Earthのマップを見ていただきたい。
これを見ると、台風5号は、最大の噴火が起きた1991/06/15の前日6/14頃から、少しずつ北へと進路を変えている。
6/15未明には、ピナトゥボ山の東方15Kmほどのところを進んでいた。
13時42分には大きな揺れが始まり、マニラでも地震が続いた。
噴火のピークは3時間ほど続き、火山灰が高度40kmまで噴き上げられた。
その後、台風5号は北方へと進路を変えて、6/17に台湾付近で低気圧に変わった。
火山噴火にはつきものだが、やはり地震も起きていたのだ。
こうしてみると、台風が地震が起きる直前の震源となる地点を「迂回」するかのような動きをするのと同様の動きをしているではないか。
あくまでも一つの事象だけなので、即断はできない。
今後も別のケースを洗い出して、火山噴火・火山性地震・台風の間に関連性があるのかどうか、探求することにしたい。
場合によっては、地震予知や噴火予知に役立つ可能性も見えてくるかもしれない。
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